【本】怖い絵死と乙女編 軽快な筆で好奇心が!

本屋でも図書館でも圧倒的なインパクト

少し前にどこの本屋でも平積みされ、不気味な絵と不穏なタイトルで圧倒的な存在感を放ってきた「怖い絵」シリーズ。
気になりながらもホラーな本は苦手なので避けてきましたが、図書館でも一番に視界に入ってきたこの本を無視できずに借りてきました。

ホラー?いいえ違います

実際読んでみると、ホラーな要素はゼロ!
どちらかというと、絵の楽しみ方とその絵が出来た歴史的背景と絵に対する筆者のエッセイです。
今まで何となく美術館で絵を鑑賞してきた人なんかはこの本で、無意識に見ていた絵が実は作者の意図によって鑑賞者が最初に目が行くところ次に視線が誘導されるところ…というロジカルな部分も解説されているので興味深く読めると思います。

取り上げる題材には挿絵があるので理解しやすい

この本はカラーで1ページ分、絵のスペースがとってあるのでこの本で理解を完結できるようになっていて嬉しい。
でも、もっとちゃんと見たくなってググっちゃうんですけどね笑。おかげで中々読み終わらなかったです(良い意味で)
解説を読んでいるともっと細部も見たくなってくるんです。

余談ですが、つい拡大したくなって本にスマホの「ピンチアウト」の動作をしてしまったときはスマホに毒されていることに気づいて自分に引きました。

でも、とっかかりとして絵があるのは読み手にとっては本当に助かります。

多岐にわたる絵の数々

絵の系統として、本当にジャンルにとらわれず取り上げられているので飽きずに読めます。
とはいえ大道はあるんですけど、ヨーロッパらしく宗教がらみやギリシャ神話とか。日本人には馴染みがないものが多いかな。
でも変わり種も多くて例えば…

お酒に溺れた人たち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

版画で描いた「ジン横丁」なんかは飢えと貧困に苦しんだ庶民がお酒のジンで身を滅ぼしていく内容です。
日本人には馴染みのない絵でお腹いっぱいなところを現実的な生々しさで、この本のお口直し的立ち位置というかスパイス的存在で締めています。

絵は知識と感性で感想が変わってくる

観た瞬間に不快な気持ちにさせる絵も多いですが、パッと見は綺麗な絵も描かれた背景を読み解いていくと、
人間のエゴや絶望、死に対する恐怖、諦めなんかも、知識を得た後に見返すと絵から滲み出てくるから面白い。
見る人、時期によってどんな解釈も出来るから、その瞬間に出た感想がどんなものでもバツにならないのがいいですよね。

そして一般的な解釈を経たうえで、筆者の感想も載っているので感覚的には
物知りな人と一緒に美術館に行って感想を言い合っている感じがして楽しい!!

読んでいて、親近感と高揚感が出てくるのです。

絵画に歴史に興味がなくても好奇心がうずく!

史実に基づいた絵なんかは、「歴史ってこんなに面白いんだ!」と思わせるような人間味あふれる秀逸なエピソードが満載。
表紙になっている皇女ソフィアの眼力の理由や、たくましい彼女の生きざまが後の女帝の礎となったハナシなんて、この本を読んでいなかったら知るきっかけはあってもこんなにワクワクしなかったし、記憶に残らなかったと思います。

眼力にただならぬモノを感じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分じゃスルーしてしまうような画家の絵にも触れあえてワクワクするのって大人になるとなかなかない(学生だったら強制的)から尚更新鮮でした。

個人的に好きな絵はこれ!

アンソールが描いた「仮面に囲まれた自画像」

この本でアンソールを知った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この絵がもたらす色とりどりなのに焦燥感や孤独感は、現代にも通ずるものがあって身近に感じるのと、解説によって人間らしく魅力的に描かれたアンソールという人物に惹き込まれてしまいました。

解説はどこかコミカル

この本の最大の魅力は筆者の軽やかな文章!暗くて重い題材も、筆者のイジリとツッコミが面白くて読みやすく仕上がっています。
筆者の文章が、堅苦しい絵を一気に身近なものにしてくれているんですよね。
肩の力を抜いて「なんて可哀そうなヨセフ!!」とクスっとしながらミケランジェロの「聖家族」を鑑賞できる日がくるとは。
この本は芸術アレルギーの人、歴史アレルギーの人たちに是非読んでほしいな。

 

★は4.7!!

 

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