Contents
実在する人物を追ったドキュメンタリー映画
ミーハーか本気のファッションアディクト以外は食指が動かなそうな映画ですが、時間も短く面白かったので感想を徒然と。
ニューヨークの高級アパートメントに居を構える、ファッションアディクトのおばあちゃんを追った映画です。
というのも齢は94歳(映画撮影時。今は97歳)
ですが、ピシっと背筋も伸びていて会話もかなりシャキシャキとしています。見ていて本当に94歳なの?と言いたくなる方がこの映画の題名にあるアイリスさん。
自分の感性のみ!一切ぶれない。
まず一番最初に映像を見て驚くのが彼女が身にまとっているモノの情報の多さ笑。
アクセサリーも衣類も柄やカタチが多様でシンプルな装いが多い現代では、かなりパンチが効いた絵面です。
柄×柄、素材違いのアクセサリーを幾多に重ねるセンス、それが「アイリスアプフェル」として認知されているんですよね。
彼女も劇中で「今の人は装いに個性がなくてつまらない」と一刀両断しております。
ちなみに見たら忘れられない、大きな丸い黒ぶち眼鏡は完全に彼女のアイコンアイテムです。
ミーハー女子なら、名前は知らなくても彼女の写真をみたら「見たことあるかも!」となるのでは。
そのくらいのインパクトだし、色々なブランドとコラボしており、未だに影響力が大きい人物なのです。
MIXスタイルがお好み
彼女は我々庶民の想像もつかないくらいのファッションアディクトでハイブランドから市場にある民芸品までこよなく愛しているお方。
「ハリーウィンストン(アメリカのダイヤブランド)よりも安いお店で良いものを見つける方がワクワクするわぁ」と富豪ゆえの名言も。
とはいえ、ハイブランドも気に入ったらサクサク買っているんですけどね。
「気に入ったものであれば値段は関係ないし、気に入ったものしか買わないわ。」とさらっと言えるのは、モノを見抜く力と自分の判断基準をしっかり持ってる人が言えることですよね。
ついユニクロでその場しのぎで買うことが多い私には耳が痛いー。
ゴリゴリのバリキャリ実業家
元々インテリア業界→繊維業界へと軸足を移しつつ、事業も興し、バリバリと働いてきた人なんですが
印象に残ったのが、「子供は作らなかったの?」の質問に「全てを得ることが出来ないから諦めた」と答えていたのが印象的で。
「私は旅と仕事を選んだの」と答える彼女は旅と仕事の人生を歩んできてやりきったんだろうなという吹っ切れたような顔をしていたのが残っています。
夫を、妻を、思いやる気持ち
この映画は、彼女のファッションとパートナーのカールとの愛の軌跡の二本のテーマで組まれています。
見る人によってどちらの印象が強く残るかは変わりそうですが、私はファッションよりもカールとの関係性の方が印象に残ったかな。
アイリスが骨折しても心配させまいと彼に本当のことを伝えなかったシーン、彼が病院でで不機嫌になっているのをなだめるアイリスのシーン。
愛し合ってても、老いは着実に二人に忍び寄ってきて、いつか来るあろう別れに恐れをなしていることがヒシヒシと伝わってきて、つい自分に置き換えて観てしまって辛かったです笑。
積み重ねがおしどり夫婦を作る
彼と彼女の結婚生活の長さが二人の愛の深さに比例していったんだろうなって感じるシーンが多いんです。
二人がしわしわの手を握り合っているシーンでは、何も言葉を発していないのに会話しているようなそんな画で胸に来るものが。。
おじいちゃんおばあちゃんになっても、あれだけ仲がいいのは純粋に羨ましいです。
二人の関係はこの映画の肝になっているはずなのに言葉にすると陳腐になってしまうのと、なんかこの気持ちは胸に仕舞っておきたくなるというか、軽々しく言葉にできないのです。
次の世代へ継承させる
後半では、仕事で買い集めた商品や、アイリスの貴重なハイブランドの洋服を寄付するシーンも。
彼女の寂しそうな顔だけで、すべてのモノに愛があったんだなと思わされます。
次の世代に伝えるということを強く意識していて、どこか使命感のようなものも持っておられるようです。
なんだか彼女の中で終わりが見えてきて、引き際を見据えて終活を始めているようで、何とも言えない気持ちに。
言葉の数々が名言すぎて拾いきれない
老いという抗えないテーマも当然彼女にのしかかってくるのですが、チャーミングな笑顔と受け答えで周りの人を、画面の向こうにいる人をハッピーにさせるチカラはさすがだな。と。そして恐らく世の中の働き盛りよりも、94歳のアイリスの方がパーティーガールです笑。
こんなお茶目な94歳、世界中探しても後にも先にも「アイリス」しかいないんじゃないかな。
アイリスとカールが発する言葉は一つ一つが重みがあって、さらっと言った内容が胸に突き刺さってくるこの映画。
★3.7かな!
観れて良かった。そう思わせる映画です。